これが虫の知らせか

あー、あー。新宿8時発の高速バスに乗って母親と福島は郡山に行くはずが、何でか6時ぐらいに電話がかかってきました。おいおいかか様、ちーとばっかり早過ぎと寝ぼけ眼な上に虚ろな声で応じると「じいちゃんが亡くなった」と言われました。冗談かどうかなんて聞くまでもないことなのは明白で、一気に脳みそを覚醒させて現実に適応させる。話しの要点は三つ、・じいちゃんが亡くなった、・母は一足先に新幹線で行くから後から、礼服とかの準備して来なさい、・今日が御通夜、とのこと。亡くなったのもそうだけど、普通当日の当日で御通夜まで行かないだろ。聞いたところによると坊さんの事情らしい、坊主丸儲け。いやいや、とかく事態は生者の為に回っている。
父親と姉と合流して、東京の15:08分の新幹線に乗ろうとしたのだが、人身事故がおこったらしく立ち往生。新幹線で人身ってどんな事態やねん。問題なければ16:30に郡山に着き、17:00からの御通夜に間に合ったのに斎場につけたのは17:12分。最後の最後のところだけ参加したにすぎないが、それで終了。
棺おけに入ってるじい様を見たが、今にも起きそうだ。今なら戻ってきてもいいと思う、ドリフのコントのように。

斎場に泊まって爺さんと親族のみで番をした。故人の話しをしながら酒を飲み、現状を語って最後の宴とする。お別れの準備なわけだ。その中で叔父さんの一人が「生き返ってよー」「みんな来てるんだよー」「明日には焼かれちゃうんだよー」と何度も泣いて、叫んで、慟哭していた。文字通り子供のように。
そんなことをされたら、どうにも揺さぶられてしまう。生きてるうちに会いにこれなかったという悔いの意識以外あまり表に感じないようにしてたのに、一気にきてしまった。
俺が爺さんに持つ感情は何とも曖昧で、好き嫌いで言うなら好きによるんだろうけど、どちらかというなら苦手という感覚があった。今でなら子供を構ってくれてると理解できるのだが、いきなり子供の目の前で入れ歯をとって、目の前で「カチカチ」と迫りながら脅かしたり、煙草の煙を吹きかけて「ごほごほ」とむせさせたりする人だった。おかげで煙草は若干トラウマ気味で、呑むという好奇心が勝ることがない。考えてやってたわけじゃないんだろうけどその点だけはありがたいのかもしれない。だから大人になった今でも、大人気ない人だったんだと思えてしまう。面白い人だった。
啼いてる叔父さんと、父親と日本酒を何本かあけて自分と爺ちゃんのためにひたすら飲んだ。爺さんは酒豪だったのだ。ああ、一緒に飲んだこともなかったってことまで出てきた。難儀なこった。